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2008年10月

男の子映画としての宮崎駿作品


この夏公開された『崖の上のポニョ』は、宣伝でさんざん繰り返される主題歌に辟易していたので見る気はなかったのですが、各種メディアの記事やドキュメンタリーで(考えてみたら当たり前のことですが)宮崎氏がかなり本気で作った(おそらくは彼が本格的に関わる最後の)作品と知り、映画館で見ることにしました。

これはよかった。テーマのこと、アニメのデフォルメのこと、色合いのこと、音楽のことなど語りたいことはたくさんありますが、ここでは省略します。ともあれ、この『ポニョ』で私の宮崎駿熱が再び燃え上がりました。そして夏以来、『風の谷のナウシカ』、『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』、『ハウルの動く城』、『天空の城ラピュタ』を見ました。

これらの作品を見て、宮崎駿氏は、基本的にはとても「男の子」で、女性をとても崇めているのではないかと私は思いました。

彼が女性を崇拝しているのは、彼の初の原作・脚本・監督作品である『ナウシカ』からも明らかかと思います。そこに描かれたナウシカは、誰よりも鋭敏な感覚を持ち、優美で、そして勇気があり、「戦わない」という戦いを貫き通して、ついには地球さえ救います。もはや彼女は完璧な存在です。ある意味、これは理想化されすぎた像であり、生身の女性を超えてしまっているとすらも言えます。

『ラピュタ』の話は後にすることにして、その後宮崎氏は『紅の豚』で魅力的な男性像を描きましたが、やはりその男性は、どこか女性の手のひらの上で踊っているだけのようにも思えました。

ですが『もののけ姫』で宮崎氏は、素晴らしい男性像を描き出すことに成功します。アシタカは、村を救うために呪いを受けてしまった自分の運命を従容と受け入れながらも、もののけ姫(サン)を愛します。もののけ姫の「母」である狼(モロ)には「黙れ小僧!お前に何ができる。あの娘を救うことができるというのか」と罵られても、「わからない」とだけ静かに答えます。しかし彼は、その後の騒乱と混乱の中で、誰もが何をどうすればわからなくなった時に、peace makerとなりながら、さらにもののけ姫を助けます。これは素晴らしい。45歳になる私もアシタカの振る舞いと判断、そして行動を、ロールモデルとして何度もDVDで見ました(はい、私は単純で幼稚な人間です)。

『ハウルの動く城』はテレビの再放送で見ました。実は私は宮崎作品で、声優にタレントを使うことについてはとても批判的だったので、木村拓也がハウルの声を担当していると知り、映画公開時は見ないでいました。ですがテレビで見た『ハウル』はよかった。この映画の主人公はハウルではなく、魔法で老婆にされてしまった少女ソフィーでした。ハウルはむしろ、ハンサムで才能があるけれど不安定な若者に過ぎませんでした。しかしソフィーは、数々のトラブルに苛まされ、それに後手後手に対応するに過ぎず、対応も極めて受動的に過ぎないのですが、それにもかかわらず、いや、それだからこそ、大きな混乱に秩序を取りもどします。それはまさに女性的な解決でした。この映画の原作は宮崎氏ではないことを私は予め知っていましたが、テレビを見ながら、この原作者は女性に違いない、女性でなければこのような女性像は書けないだろうと思っておりましたら、はたしてその通りでした(ま、偶然でも二分の一の確率で当たる推測なのですが 笑)。

『ポニョ』は、そのように等身大の魅力的な女性はなかなか描けなかった宮崎氏が、ようやく(幼児とはいえ)等身大の魅力的な女性を描くことができた作品と言えるかもしれません。最晩年になってようやく女性を描くことができたというのは、宮崎氏はやはり「男の子」なのだと私は思ってしまいます。

その宮崎氏の「男の子」らしさが最大限に発揮されているのが『天空の城ラピュタ』かもしれません。この映画が好きと言えば、フェミニストには批判され、セクシストとも、それ以下のひどい言葉ででも罵られそうですが、「男の子」である私にとってこの映画は素敵です。

映画のストーリー展開、テンポ、音楽、数々のキャラクター(特に女海賊ドーラ!)などが冒険活劇として優れているだけでなく、とにかく主人公(パズー)が「男の子」です。「天から降ってきた」女の子(シータ)を好きになり、なんとか彼女の力になろうとしますが挫折します。それが悔しく、今までパズーが一人で築き上げてきたもの全てを捨てて海賊に加わることまでを決意して、シータを助けに行きます。弾幕は強行突破し、壁があればそれに穴を開けて「シータ!」と大声で叫び続けながら恋する女の子を助けに向かうパズーの冒険というのは私のように単純で幼稚な「男の子」にとっては最高の童話です。宮崎氏が監督・脚本を担当した『ルパン三世 カリオストロの城』も「男の子」映画ですが、この『天空の城ラピュタ』も「男の子」のための映画です。(さあ皆さん、どうぞ罵ってください)。

見知らぬ人との会話で話題に困った時には「好きな宮崎駿作品は?」と尋ねると会話が弾むとは糸井重里さんが言っていたことですが、あなたの好きな宮崎作品は何ですか?

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10/24 ひろしまチェンバーソロイスツコンサートVol.6

お知らせです。出演者もいいそうですし、プログラムもいいし、可能なら私は出張の帰りに寄ろうと思います。

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ひろしまチェンバーソロイスツコンサートVol.6

* ■開催日:
2008年10月24日(金)
開演18:45(開場18:00)
* ■会場:
広島県民文化センター
* ■出演者:
上野真、玉井菜採、大野かおる、吉田秀、伊達万浩、森純子
* ■料金:
一般¥4,000 学生¥2,000

<プログラム>
ハイドン:ピアノ三重奏曲 第27番 ハ長調
モーツァルト:弦楽四重奏曲 第21番 ニ長調「プロシャ王 第1番」
シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調「ます」

※コンサートの詳しい内容に関しては主催者までお問合せ下さい。
主催:ひろしまチェンバーソロイスツコンサート実行委員会
082-252-4721

http://www.yamahamusic.jp/hiroshima-s/concert/index.php?mode=detail&id=177

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シド・バレット (Syd Barrett)


中学生の時以来、ピンク・フロイドは私にとって、レファレンスというぐらいに大切なミュージシャンでしたから、当然シド・バレット(Syd Barrett)という固有名詞は私は知っていました。


しかし「精神を病み・・・」といった、彼を語る際の常套句的な記述を怖れ、私は彼の作品どころか、彼がピンク・フロイドに在籍していた頃の作品まで聞くことを控えていました。

ところが今日、仕事をしながらミクシィの「マイ・ラジオ」でVan Morrisonに関連したアーチストを、ミクシィのサーバーが供給してくれるままに聞いていましたら、シド・バレットの作品がことごとく私の心を打ちました。仕事をしながらですので、私は音楽を聞いている時には、それが何の曲かわからず、とても気になったら画面を切り替えてそれが誰の作品かを確認します。そうやって確認することは非常に少ないのですが、それがほとんどシド・バレットの作品だったのは私にとって驚きでした。

私はここ10日程度風邪気味ですから、問題にならないぐらいのわずかな鬱状態に心が傾いてるだけなのかもしれません。


でも、やっぱり私はどこかで社会に適応しにくい人間なのかなぁ。

商売上、社会や他人には過剰なぐらいに適応しているつもりだけど、やっぱりどこかで無理しているのかなぁ。

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