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J.S.バッハ ミサ曲ロ短調

バッハのミサ曲ロ短調が、バッハの、そしておそらく
西洋音楽の頂点の一つだろうということはよく言われて
いることですが、私のもっていた古いCDの演奏は、
あまりに峻厳すぎて、冒頭のキリエが搾り出すような
大合唱で始まると、私は何だか「引いて」おりました。

「キリエ エリソン(神よ憐れみたまえ)」という
言葉にも共感できなかったのかもしれません。
私は憐れまれるほどの存在ではない、と必死に自分を
弁護したかったのかもしれません。

しかし、最近購入した、この各パート一人で歌われる演奏を
聞くと、西洋音楽の最高峰が、とても親しみのわく、
個人的な語りかけのように聞こえてきます。

風は強いとはいえ、陽気が春になった今日のような
日に聞くと、「キリエ エリソン」という言葉も
すっと私の中に落ち着いてきます。きっと私もそれだけ
幸福になったのでしょう。自分を自然に受け入れられるぐらいに。

いや別に、特別変わったことがあったというわけではありません。
ただ「キリエ エリソン」で始まるミサ曲ロ短調を、私の個人的な
音楽として感じることができたということだけです。

先日、Scientific Americanを読んでいたら、happiness
とは、pleasureよりもsatisfactionによって影響される
という短い紹介記事がありました。

特にpleasureがあったという日ではありませんでしたが、
たしかに何だか自分自身に対するsatisfactionを
感じたような日ではありました。

私はこのような存在でしかありません。
しかし、神よ、私はあなたの憐れみを感じます。
私はあなたに感謝します。

J.S. Bach
H-MOLL-MESSE

CANTUS COLLN
Konrad JUNGHANEL

HMC 801813.14

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コメント

イワンさま
春が好きと言いながら、このところの強風で花粉が舞い上げられているのでしょう。目のかゆみとクシャミに悩まされています。

今日のイワンさんの文章からはhappinessが感じられ、私まで嬉しくなりました。イワンさんは充分ご自分にsatisfactionをお感じになってもいいと思いますけど・・・。

英語ブログのほうも読ませていただきました。
私の貧弱な英語能力では充分読みこなすことも出来ませんけれど、これからも楽しみに読ませていただきたいと思います。

投稿: ヨーコ | 2007/03/06 21:04

バッハのロ短調ミサは、数あるミサ曲の中でも特別な存在だと思います。
とくに、その「キリエ」の訴えの切実さは、モーツァルトのレクイエムの「キリエ」も遠く及ばないと思います。

頂点、と呼ばれてるのですか・・・頷けます。

personalであると同時にuniversalな”Kyrie”というのは、他作品には望めないのではないでしょうか?

それを感じる事の出来る演奏に巡り会えた事も、それを感じる事の出来た自分自身も、きっと大切な宝物になることでしょうね。

まことに。


投稿: ken | 2007/03/06 22:02

ヨーコさん、
コメントありがとうございます。
私、根がどーも、ブルックナーなもので、
ウジウジしており、なかなか自分に満足
できません(笑)。

kenさん、
温かいお言葉ありがとうございます。
確かにこの演奏も、この演奏を喜べた
自分も大切な宝です。

(水野晴男風に)
いやぁ~、音楽って本当にいいですね!

投稿: イワン | 2007/03/07 21:27

1パート1人というのは音楽学者のリフキンが提唱しているスタイルですよね。私はパロットの指揮する演奏で聴いていますが、心洗われるすがすがしさはあるものの、曲自体に対する共感の度合いが低いのか、あまり印象に残りません。レオンハルトの指揮するマタイはとても好きなのですが(というか、この演奏でないと聴き通せない)。

投稿: キンキン@ダイコク堂 | 2007/03/08 10:32

キンキンさん、
たしかにこのバージョンは、あっさり
しすぎているようにも思えます。
でも、私にはそこが魅力で、とても
personalなミサ曲ロ短調になっています。
(実は私は最近毎日この曲を聞いています。爆)

投稿: イワン | 2007/03/08 19:25

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