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2007年3月

親密なつながり

Fartein Valenが妙に私の心に寄り添ってくれたので、
http://yosukeyanase-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/fartein_valensy.html
http://yosukeyanase-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/fartein_valenth.html

彼の作品が入ったCDをNordic Sound広島のホームページ
のsearchで探して注文し、入手しました。
http://www.nordicsound.jp/

一枚目は、ノルウェーの女性ピアニストLisbeth Skogen
によるInspiredという作品集です。
http://www.musicfromnorway.com/default.aspx?norwegian=album&music=29038

Fartein Valenの作品を選ぶ演奏家は、他にどのような
作品を選ぶだろうという興味です。

Fartein Valen自身が親密な音楽を書く人ですから、
彼の音楽を選ぶ演奏家も、他の親密な音楽を書く人
を選ぶだろうと思いました。


Fartein Valenのピアノソロ作品がPer Hjort Albertsen
(1919-)というノルウェーの現代作曲家と、バッハ、
ブラームスという伝統的作曲家のピアノソロ作品の間に
挟まれています。CD全体の流れは自然で違和感がありません。
ブラームスでさえ、こういった音楽の系譜の一つ
として聞けるのかというのは、ちょっとした驚きで
ありました(私たちは重厚なブラームスばかり聞かされて
いますからね)。誇張とは無縁の自然な音楽の姿勢が
私たちの心を静かに柔らかく整えてくれるようです。


二枚目はFrantisek Veselka (violin) & Stefan Veselka
(piano)によるThe Private ChamberというCDです。
(それにしても一枚目も二枚目もタイトルがいいなぁ)。
http://www.musicfromnorway.com/default.aspx?norwegian=artist&music=22431

ここではFartein Valenが、Biber, Bach, Hindemithの
流れを受けて、ノルウェーのFinn Mortensen(1922-1983)
に続いて、CDの最後に演奏されます。
(選曲には一枚目と同じような趣意が感じられますね)。


Fartein Valenの曲は、Finn Mortensenによって
編曲されたヴァイオリンとピアノ版の
ヴァイオリン協奏曲です。

この協奏曲はArve Tellefsenがシベリウス
のヴァイオリン協奏曲と共に録音した演奏で
私は親しんでいました。
http://www.arvetellefsen.no/disco.html

ですが、この簡素な編曲版もまたいいです。
オーケストラ部分をピアノだけで演奏する
ことによりFartein Valenの対位法的性格が
よく表現されているようにも思えます。


こういったCDは決して大々的な宣伝で大量販売されるものでは
ありません。人から人への親密なコミュニケーション
の中で伝えられ、一枚一枚買われてゆくものでしょう。

しかしそういった親密なつながりの中にこそ、
本当に大切にしなければならないことはあるのでは
ないでしょうか。

テレビを見れば大量消費を促すCMの洪水にさらされ、
音楽雑誌を見ても無思考的大量消費を促すような檄文が
「音楽批評」として通用していたりします。
テレビもブログも歯の浮くような礼賛か、
一方的な痛罵ばかりを流しているようにさえ思います。

そんな中、私は細やかなつながりを大切にしてゆきたいと思います。

大げさにいえば、親密で細やかなつながりこそが、
世界を狂気から救っているのではないかとすら思います。
(おお、なんか、村上春樹的世界観!(笑))

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Keith Jarrett/Sun Bear Concerts (Piano Solo)

キース・ジャレットは、これがコンサートであるにも
かかわらず、ここでは「一人で」演奏しているようにも
聞こえます。ただソロ演奏というだけの意味ではなく、
一人だけで音楽を紡ぎ出しているようにも思える
ということです。

彼は客席のマナーに関してはとても厳しく、彼の
集中を乱す行為に関してはかなり怒ったりもする
とも聞いたことがあります。

しかし彼がそうして「一人で」演奏をしているにも
かかわらず、私たちの心に彼の音楽は響いてきます。

また同じような発想の展開で恐縮ですが、
これは彼が「一人で」真摯に崇高なるものへ
向けて演奏しているからではないでしょうか。
私たちもその崇高なるものを畏敬する度合いに
応じて、彼の音楽が伝わってくるのではない
でしょうか。

キースと私たちは、直接ではなく、崇高なる
ものを介して通じているのではないか、と
いうことです。

約30年前のソロ演奏集ですが、彼が、当時の
流行に向けて演奏をしているのではなく、
いと高きものに向けて演奏をしているせいか、
彼の音楽は、少なくとも私の耳には古びて
聞こえません。

ECM RECORDS
POCJ-2527/32

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John Lennon, and then R.E.M.

R.E.M.は村上春樹が評価していて、
私は長年聞きたいと思っていた
バンドですが、今度、ジョンレノンの
カバーアルバムを出すそうです。

http://www.remhq.com

の上にあるアイコンをクリックしてください。
#9 Dreamのカバー曲が聞けます。

これは「インスタントカーマ /
ダルフール救済キャンペーンCD」
からの第一弾だそうです。

http://www.instantkarma.org/

に行ってみて下さい。

ジョン・レノンの顔を見て一瞬涙が出そうに
なりました。

ジョンは確かに"dreamer"だったかもしれない。
でもジョンの魂は生きています。

これからもずっと生き続けます。


近年ますます世界の多くのアーチストが
グローバルな問題に対して行動を起こし
はじめています。

「アート」が生命の賛歌である以上、それが
自然なことでしょう。少なくとも私は過剰に
シニカルな態度はとりたくありません。

シンプルに、ストレートに、生命の喜びを
私たちも表したいと思います。

そしてシンプルに、ストレートに、それが
戦争であれ環境破壊であれ、それに
反対をしてゆきたいと思います。

"Dreamer"であることは、短期的には
「現実主義者」の嘲笑の的になりますが、
長期的にはこれこそが賢明な戦略なのでは
ないでしょうか。

JohnのImagineの歌詞を思い出してください。

You may say I'm a dreamer, but I'm not the only one.
I hope some day you'll join us.
And the world will be as one.

追伸、
スーダン・ダルフール危機の日本語解説は

http://wiki.fdiary.net/sudan/

の「基礎知識」をどうぞ。

(この情報をくれたマイミクのsaoriさんに感謝!)

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Johann Sebastian Bach / Harpsichord Concertos Vol.1

神の御心を忘れること、忘れたときに悔い改めない
こと、これが私が最も怖れることです。

私はこの怖れのなかで暮らしています。

その怖れから私を救ってくれるのが、
天の神様、地の友人、天地をつなぐ音楽です。

キリスト教でいう「罪」とは神様の愛と義から
私たちの心が離れてしまうことですが、今回も
神様への信仰が私を「罪」からわずかながら
にしても遠ざけてくれました。

今回も友だちは、それぞれのやり方で、
直接的にあるいは間接的に私を支えてくれました。
(本当にありがとう)。

今回も音楽は私を品性の崩壊を防いでくれました。
出張中は様々な音楽が私の頭で鳴り続けました。
CDのある環境ではこのバッハの音楽が響きました。


私はバッハの管弦楽作品はそれほど好きではなかった
のですが、この演奏はいいです。

優雅な気品というのは、この世にもあるのね。

少なくとも天と地を結ぶ音楽の中では。

モーテンセンは、私にとって当たりみたいです。


Johann Sebastian Bach
Harpsichord Concertos Vol.1

Lars ZUlrik Mortensen
Concerto Copenhagen

CPO 999 989-2

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Roy Haynes / Te Vou!

本当に気持ちのいい、爽快なドラミングです。
一流のアーチストなら常にそうであるように、
もう独自の世界。
ジャック・ディジョネットともトニー・ウィリアムス
とももちろん違う。
もっとシンプルで、味わい深い。
アップ・テンポだけれど、決してあおらない。
リズムの高揚感!

それにパット・メセニーが絡むのだから、もう
私としてはこのCDは好きにならずにいられません。
Question and Answerと同様、ロイ・ヘインズ
と競演するパット・メセニーは独自の魅力を出します。

本日、ひさしぶりに棚から発掘したCDでした。


Roy Haynes / Te Vou!
Recorded in September 1994 with Donald Harrison, Pat Metheny, David Kikoski and Christian Mcbride.

http://www.amazon.co.jp/Te-Vou-Roy-Haynes/dp/B000001ZT8/

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J.S.バッハ ミサ曲ロ短調

バッハのミサ曲ロ短調が、バッハの、そしておそらく
西洋音楽の頂点の一つだろうということはよく言われて
いることですが、私のもっていた古いCDの演奏は、
あまりに峻厳すぎて、冒頭のキリエが搾り出すような
大合唱で始まると、私は何だか「引いて」おりました。

「キリエ エリソン(神よ憐れみたまえ)」という
言葉にも共感できなかったのかもしれません。
私は憐れまれるほどの存在ではない、と必死に自分を
弁護したかったのかもしれません。

しかし、最近購入した、この各パート一人で歌われる演奏を
聞くと、西洋音楽の最高峰が、とても親しみのわく、
個人的な語りかけのように聞こえてきます。

風は強いとはいえ、陽気が春になった今日のような
日に聞くと、「キリエ エリソン」という言葉も
すっと私の中に落ち着いてきます。きっと私もそれだけ
幸福になったのでしょう。自分を自然に受け入れられるぐらいに。

いや別に、特別変わったことがあったというわけではありません。
ただ「キリエ エリソン」で始まるミサ曲ロ短調を、私の個人的な
音楽として感じることができたということだけです。

先日、Scientific Americanを読んでいたら、happiness
とは、pleasureよりもsatisfactionによって影響される
という短い紹介記事がありました。

特にpleasureがあったという日ではありませんでしたが、
たしかに何だか自分自身に対するsatisfactionを
感じたような日ではありました。

私はこのような存在でしかありません。
しかし、神よ、私はあなたの憐れみを感じます。
私はあなたに感謝します。

J.S. Bach
H-MOLL-MESSE

CANTUS COLLN
Konrad JUNGHANEL

HMC 801813.14

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