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Victor Bendix/Symphony no. 3 (1895)

私は育ちが貧しかったので、どうしても
現状否認的なスタイルを、革新とか創造と
称して共感しがちです。

反発心や野心をむき出しにして現状を否定
しようとしてきました。

音楽にしても、そのように「革新的」で
「創造的」、あるいは言い方によっては
「現状破壊的」な表現を好んできました。
(もっともバッハやブルックナーといった
超越的な音楽にはひれ伏していましたが)。


でもさすがに中年となると少しは考え方
や感性も変わってきます。
年を取るというのもいいものです。


穏やかで良き伝統を毛嫌いしなくてもよいのではないか。


そんなことを思っていた時に、この曲の演奏に
出会いました。(2007年1月25日 広島交響楽団
第265回定期演奏会 日本初演)。

指揮の秋山和慶さんもこの日は気負わず丁寧に
指揮をしていました。

コンサートマスターの田野倉雅秋さんも、演奏後に
思わず小さくガッツポーズをしたぐらいの快演でした。

しみじみと19世紀デンマーク音楽の良さを味わいました。

ベンディクスは、ゲーゼ(1817-1890)を師とする
作曲家ですが、このゲーゼも品の良い曲を書く人です。
(ゲーゼの師匠はメンデルスゾーンです)。

ハイドン-ベートーベン-ブラームス-ブルックナー
の構造的伝統とは異なる、穏やかで茫洋とした良き伝統を
このメンデルスゾーン-ゲーゼ-ベンディクスに見る
思いです。(カール・ニルセンがベンディクスに
続くのですが、ニルセンはやはり20世紀の表現者
であるような気がします。)

19世紀のロマン主義的作品は苦手とする私ですが、
この控えめな北欧のロマンティシズムはしっくりと
きました。

ブラームス的な構造的重厚さや、チャイコフスキー
的な気分の変動ばかりが19世紀ロマン主義表現では
ないのですね。

プログラム解説によりますと、ベンディクスの信条は
「音楽の最大の目的は、しばしの間、人々に自分たち
の野蛮さと恥ずべき日々の生活を忘れさせること」
だったそうです。


こういう心持ちもあるのです。

Victor Bendix/Complete Symphonies
DACOCD436-7

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» ベンディクス 交響曲3番 [Blue lagoon]
後先になりましたが、1月25日に行われた、ヴィクトー・ベンディクス(デンマーク、1851-1926)の交響曲3番、日本初演(広島交響楽団、指揮 秋山和慶)。 ていねいなリハーサルが本番で見事に結実した演奏。曲の細かい部分や、新たな魅力を随所に感じることができました。 1楽章の《幻想曲》でのメロディが豊かに歌う部分では泣かされました。2楽章《多彩の絵画》では、まさに‘多彩な’リズムやメロディーが描かれていきます。舞曲風のリズムのキレが実によく、また牧歌的な木管のアンサンブルの美しさに、うっとり... [続きを読む]

受信: 2007/01/28 22:02

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