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ヴァンスカ指揮、ラハティ交響楽団によるシベリウス

ヴァンスカ指揮、ラハティ交響楽団によるコンサートに行きました。


第16回 西京コンサート ラハティ交響楽団 周南市コンサート

2006年10月13日 (金) 午後7時開演 (開場 午後6時30分)

周南市文化会館 (〒745-0874 山口県周南市公園区5854-41)

ジャン・シベリウス (1865-1957) 交響詩〈タピオラ (Tapiola)〉 作品112
エドヴァルド・グリーグ (1843-1907) ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
ジャン・シベリウス (1865-1957) 交響曲第5番 変ホ長調 作品82

出演者  ユホ・ポホヨネン (ピアノ) ラハティ交響楽団 オスモ・ヴァンスカ (指揮)

ま、グリーグはさておいて(笑:ごめんなさい、私はこの曲は苦手なもので)、シベリウスのこういった作品は、まさに20世紀作品であり、現代的な感覚に満ちているなあと再認識しました。タピオラの最後あたりは、シェーンベルクを連想してしまいました。
(ちなみにタピオラは1925年完成(http://ja.wikipedia.org/wiki/タピオラ)、交響曲第五番は1915年完成(http://ja.wikipedia.org/wiki/交響曲第5番_(シベリウス))です。

現代的な感覚といっても、耳新しいようなメロディーやハーモニーがふんだんに盛り込まれているというわけではありません。
しかし、バッハ、ハイドン、ベートーベンなどに見られる均整的な構造と発展をクラシックの「基本」と考えるようになった私のような人間としては、このような作品におけるシベリウスの「不均衡的(?)」にシンフォニックなメロディ構成、そしてハーモニー感覚は、一種の「わけのわからなさ」を提示します。

「わけのわからなさ」といっても、マーラーのような人為的、作為的あるいは恣意的なものではありません。おそらくシベリウスとしては彼の内なる感覚に従って、その感覚が熟するのを待ち、スコアにまとめたら、自然とこのような作品が出来上がったのではないでしょうか。ですから「これみよがしの現代性」などとは無縁で、軽く聴く限りにおいてはいわゆる「クラシック音楽」のイメージから逸脱するものではありません。しかし丁寧に聴くと、私たちの通俗的な感覚には決して回収されない感覚があります。

ヴァンスカ/ラハティの演奏では、そういったシベリウスの内的感覚を鋭敏かつ丁寧に掘り起こしていたような気がします(ピアニシモの表現も、フォルテシモの表現も自然体で、かつ丁寧でした)。
タピオラも第五番も、私は演奏が終わると、まずは「ふっ」と大きく息を吐き出してから、やがて少しずつ拍手をしました。音楽を聞くモードから、戻るのに少し時間がかかるようないい演奏でありまたいい曲でした。

アンコールは定番のフィンランディア。もうこれは熟達の演奏。音の出方が違いましたから。
しかしフィンランディアは、決してしばしば誤解されるような国威発揚的なものではありません。
もっと奥が深く、繊細です。まあ、これも1899年作曲(1900年改訂)の作品ですし。
http://ja.wikipedia.org/wiki/フィンランディア

ちなみに私はおそらく初めて、このクラシック演奏でシンバルおよびトライアングルの響きがいいと思いました。
たいていの場合、私はクラシックでのシンバルやトライアングルの響きが安っぽくにしか聞こえません。
(特にブラームスの交響曲第四番なんて、トライアングルが曲のよさを台無しにしているような気すらしています)。
でもこの演奏のトライアングルはいい音を出していましたし、シンバルの鳴らし方も「力いっぱい」などとは無縁のものでした。
(私、ジャック・ディジョネットのシンバルの音が好きなもので、それなりにシンバルの音にはこだわってしまうのです。もちろん、ジャズとクラシックでは鳴らし方が全く違うのですが・・・)。

新幹線を使えば、比較的スムーズに移動できる土地で、このような演奏を楽しむことができたのは私にとって嬉しいことでした(広島の音楽友達にも次々に会場で出会いました)。


このように、常に新鮮な音楽世界を私に教えてくれる北欧音楽CD専門店「ノルディックサウンド広島」に感謝。
http://www.nordicsound.jp/

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コメント

ラハティ交響楽団、トラックバックなさっているかたの記事も拝読すると、素敵な団体のようですね。私はどうも古いところしか知らなくて、いけません・・・もしかしてフィンランド地元の団体ですか?
団体ではノルウェーのかたとは縁があるのですが、北欧は遠くて、優れた演奏家でも日本人は知らない、ってことが多いようです。シベリウスは今の団体では1、2番に手を出すのがやっとですが、1番についての再新記事にご掲載のエピソードは知らなかったので愉快でした。下手な演奏の中で下手な弾き手として参加していても、フィヨルドにゆるゆる頭を突っ込んでいく氷河を見上げているような感覚があって、すごいなあ、と思ったものでしたが・・・

投稿: ken | 2006/10/15 21:47

kenさん、コメントありがとうございました。
今週は、実に色々なことがあった週で、バタバタしていましたのでレスが遅れました。

さて、ラハティってほとんど知られていないのですね(涙)。

私は今回の演奏を聞いて、北欧音楽が私にとってまだ少し異質であることがわかりました。

誤解しないで下さい。私にとってこの異質さこそが音楽を聞きたいという欲求になっています。

異質でもなんでもない、凡庸な音楽なんて聞きたくありませんからね!

それでは!

投稿: ガメラ | 2006/10/20 17:58

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受信: 2006/10/14 23:19

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