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日野皓正クインテット・コンサート

音楽とは生きることなんだ、ということを、喜びをもって教えてもらったコンサートでした。そして力ももらいました。

音楽とは生きることですから、挨拶をします。
探究もします。
疾走もします。
語ることもします。
くつろぐこともします。
休むこともします。
試してみたりもします。
思いを込めることもします。
遊んでみたりもします。
最後にはさようならの挨拶をします。

これらを高度な音楽表現でやったコンサートでした。

2006年7月19日に広島大学サタケメモリアルホールで、広島大学JAZZ研究会が主催して開催された日野皓正クインテット・コンサートです。トランペットが日野皓正、アルト&ソプラノサックスが多田誠司、ピアノが石井彰、ベースが金澤英明、ドラムが井上巧一です。

とにかく音楽がよく伝わってきました。演奏者の「生きている!」という思いや感情がよく伝わりました。誇張とは無縁の自然体の表現で。本当にいい音楽コミュニケーションの場でした。

音楽の挨拶は一曲目の日野皓正作曲のクリムゾンです。スタンダードなジャズを高度な技術で演奏します。
探究は二曲目のオーネット・コールマンの曲。トランペットをピアノの弦のところに設置されたマイクに吹き付けたり、ドラムも様々な試みをしたりと音楽の可能性を楽しみました(私としてはこのような曲を二曲目においてくれたおかげで一気に集中しました)。
疾走は三曲目のマイルス・デイヴィスの曲です。トニー・ウィリアムスのようなドラムパターンでノリのよい演奏です。私はこのようなドラムにはすぐにメロメロになってしまいます。
語るのは四曲目のGANBOという曲です。他の四人の演奏をバックにして、日野さんが詩を朗読します。
くつろいだのは五曲目のデキシーランドジャズ。なんだかその前の詩の朗読の照れを隠すみたいなユーモアを感じました。
休んだのはトーク。ここで曲紹介がなされたので、私は上の曲に関する情報を得ました。

後半に関しては、即興の試みや、思いのこもったトランペットとサックスの競演がありました(コンサートではこのトランペットとサックスの音の重なりと絡みの滋味が本当によかったです)。それにサマータイムのピアノも良かったです!ベースは終始バンドを底支えしていたようでベテランの味を感じさせました。遊んだというのは、なんと広大ジャズ研のメンバーをステージに呼んで一緒にプレイさせたからです。女性ボーカル(ジャズ研会長)、テナーサックス、トロンボーン、トランペット、ベース、ピアノ、いや、学生さんたちはお世辞抜きでよくやったと思います。それをみんな「プレイ」していたのが良かったです。主催者とはいえ学生さんたちと一緒にプレイする日野皓正クインテットの雅量とジャズ音楽に対する愛情を感じました。

そして最後の一曲をやった後の長い長いお辞儀。

「場」を大切にした非常にいいコンサートでした。

060719crimson


この文章を書いているのは、会場で買った日野皓正クインテットの最新作Crimson(メンバー全員にサインして握手してもらったもんね!)を聞きながらですが、CDで聴くと、会場で聞いた以上に、このクインテットがかなりにいろんな高度なことをやっていたことがよけいにわかります(コンサートはこのCDからの曲が主でした)。単に「音楽の引き出しが広い」というのではなくて、表現するべき生があり、それが選択された表現手段によって伝えられているという感じでしょうか。これは何度も繰り返し聞いて、少しずつ音楽表現の良さを味わいたいCDかと思います。

それにしても日野皓正さんは、かっこよかったです。トランペットを吹くときの表情と、語るときのシャイな表情のギャップ、そして軽い身のこなしがクールでした。1942年生まれだそうですから、すでに60歳を超えている?信じられない。私もこんな洒脱な男性になりたいです。他のメンバーもジャズメンらしい所作と表情と服装でよかったです。こんな表現があってこその人生だと思います。

日野皓正さん、および日野皓正クインテットのファンになりました(私ってミーハー)。

ジャズは奥が深い。懐が広い。そしてクール。

日野皓正さんのホームページは http://www.terumasa.com/ です。
多田誠司さんは http://www.tadasei.com/
石井彰さんは http://www.akiraishii.net/

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コメント

ほんとよいコンサートでしたね。
2曲目、トランペットの音に共鳴するピアノの弦の響き、心地よかったですね~。いろんな実験、遊びごころ、あたたかさ、楽しさ、懐の深さを感じました。高度な技術と信頼関係があってできる音楽ですね~。
サタケメモリアルホール、なかなかすてきなホールでした。

投稿: phoebe | 2006/07/19 23:16

phoebeさん、どーもです。
ほんと、いいコンサートでした。
あのホールもなかなかですが、あんまり活用されていないんですよね。もったいない。どんどんバンドを呼べばいいのに!

投稿: ガメラ | 2006/07/20 19:48

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